レポートでDIGITIMESは、同社が25年8月末に公開した複数のレポートで、AI GPU最大手の米エヌビディア(Nvidia)が2027年に投入する次世代RubinアーキテクチャAI GPU「GR150」で、台湾TSMC(台積電)と共同開発したABF基板を不要にしたCoWoPを採用予定だとの情報が中国のPCB業界や台湾系PCBサプライチェーンに広がっているという話や、TSMCが「CoWoS」(Chip on Wafer on Substrate)とパネルレベルのファンアウト型パッケージ「FOPLP」(Fan-Out Panel Level Packaging)を統合した「CoPoS」(Chip-on-Panel-on-Substrate、いわゆる<CoWoSパネル化>)の優先導入を決め、2028年の量産化を予定しているとの話が台湾の半導体業界筋とサプライチェーンに出ていると伝えてきたと紹介した。
その上でDIGITIMESは、今回のレポートで、台湾業界筋の話として、CPCA Show Plus 2025で中国系業者が展示したUHDボードのサンプル品は、HDI構造とSLP(Substrate-Like PCB)mSAPプロセスを組み合わせたもので、層数は20〜30層だと指摘。ただ、実用レベルに達するまでに少なくとも2年以上の検証期間が必要であることから、2028年登場予定のエヌビディア「Feynman」プラットフォームへの段階的導入が想定されるとした。
この業界筋は、米中間の技術摩擦が続く中、中国メーカーは自社技術に対する自信を持ちながらも、顧客の機密やサプライチェーンリスクの観点から、広報に対する姿勢は概ね低調だと指摘。CPCA Show Plus 2025でも、中国系業者は目立たないブースで試作の成果を控え目に披露するところが多かったとし、このUHDボードの展示も大々的には行っていなかったと述べた。
DIGITIMESは、AI演算需要の拡大に伴い、PCBの高密度化・高付加価値化が進む中で、中国のPCBサプライチェーンが構造転換の岐路に立たされていると指摘。こうした中、中国系業者ではSHENG HUNG(勝宏)、SYE(生益電子)、WUS Printed Circuit(滬士電子)の3社が先行しているが、他の企業もCoWoP技術で一気に追い抜きを狙っていると紹介した。
DIGITIMESの伝えたある台湾系PCB業者は、「中国勢の多くは設備投資段階にとどまっている。資金があっても人材やノウハウ、産業連携は短期間で得られない」と指摘。台湾勢が依然として技術・品質面でリードしていると強調した。
このPCB業者は、エヌビディアが目下、中国及び台湾の複数のPCBメーカーにCoWoP共同開発を打診していると指摘。先の中国3社に加え、台湾勢ではZDT(臻鼎)、Unimicron(欣興)、COMPEQ(華通)、産業川上で銅箔基板(CCL)のEMC(台光電)、TUC(台燿科)とITEQ(聯茂)も参入と、多様なサプライチェーンの形成が進みつつあると述べた。
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